妊娠中だけでなく、妊活中(ベビ待ちさん)や産後の授乳期まで忘れてはいけない栄養素が「葉酸」です。
一般成人(男女とも)の葉酸摂取目安が240μg/日に対し、厚生労働省が妊婦さんへ推奨している摂取量は「480μg/日」と2倍の量になっています。
葉酸は野菜に多く含まれているので、日頃から野菜中心の食生活をしてる方は自然と摂取量も多くなっています。
しかし、外食が多い方や肉料理が中心の方は気をつける必要があります。
野菜以外にも葉酸を多く含む食べ物はありますが、「どのような食品・食べ物に多く含まれているのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、妊活中の方や妊婦さんにおすすめした葉酸が多く含まれる食べ物を紹介しますね。
葉酸の含有量が多い野菜
食べ物から葉酸を摂取したい場合、緑黄色野菜は欠かせません。
できるだけ野菜を食べるようにしましょう。
ここでは葉酸の含有率が高い野菜を紹介します。
葉酸以外の栄養素にも注目してみると妊娠中だけでなく、日頃から摂取したいものがたくさんありますよ。
枝豆
枝豆 100g:約25房
枝豆は葉酸の含有率が高いだけでなく、緑黄色野菜に分類されているにもかかわらず、大豆のような良質のタンパク質も豊富な食べ物です。
食べ物から摂ることができる葉酸は、水溶性ビタミンで熱に弱いものが多いのですが、枝豆はさやに包まれているため茹でても葉酸の流出量が少ないのが特徴です。
冷凍の枝豆でも栄養素はほとんど変わらないため、一年を通じて手に入りやすくおすすめです。
【枝豆の栄養素と効果】
- 大豆イソフラボン・・・卵巣機能の低下を防止
- ビタミンB1、カリウム・・・疲労回復
- 食物繊維、マグネシウム・・・便秘の解消
- ビタミンE、サポニン・・・貧血や冷え性
からし菜
からし菜 100g:約2袋(産地などによる)
からし菜の旬は2月で、アブラナ科の葉野菜のひとつです。
その名の通りピリッとした辛味が特徴ですが、葉酸以外にも栄養価が高い食材です。
あまり馴染みのない食べ物かもしれませんが、漬け物として売られていることが多いのでチェックしてみてくださいね。
【からし菜の栄養素と効果】
- βカロチン・・・細胞の活性化
- カリウム・・・疲労回復
- ビタミンK・・・骨を丈夫にする
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
そらまめ
そらまめ 100g:約15粒
3月〜6月が旬のそらまめは、豊富な栄養素をもちながらも低カロリーが嬉しい食べ物です。
さやから豆を取り出し、黒い部分(おはぐろ)に切り込みを入れて冷凍用保存袋に入れて冷凍することができます。
1ヶ月を目安に食べるようにしてくださいね。
【そらまめの栄養素と効果】
- タンパク質・・・胎児の体を作る
- ビタミンB群・・・疲労回復
- カリウム・・・むくみの解消や高血圧の抑制
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
モロヘイヤ
モロヘイヤ 100g:約1袋
モロヘイヤも葉酸だけでなく豊富な栄養素を含む食べ物として注目を集めています。
茹でた時の葉酸流出率が高めなのが気になります。
モロヘイヤとお水をお皿に入れて電子レンジで加熱すると、葉酸の流出を減らすことができるのでおすすめです。
【モロヘイヤの栄養素と効果】
- βカロチン・・・細胞の活性化
- ビタミンB2・・・疲労回復
- ムチン・・・タンパク質の消化を促し、血糖値の上昇を抑える
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
菜の花
菜の花 100g:約0.5束
菜の花は葉酸以外に、カリウム、鉄分、カルシウムが豊富で茹でても葉酸の流出がほとんどないので、妊婦さんにおすすめの食べ物のひとつです。
【菜の花の栄養素と効果】
- カルシウム・・・細胞の活性化
- 鉄分・・・貧血の予防
- 食物繊維・・・便秘の解消
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
芽キャベツ
芽キャベツ 100g:約8個
芽キャベツは茹でても葉酸の流出がほとんどありません。
ビタミンCが豊富なため葉酸の吸収率も上がるのでおすすめの食べ物です。
【芽キャベツの栄養素と効果】
- βカロチン・・・細胞の活性化
- ルテイン・・・抗酸化作用
- ビタミンK・・・骨を丈夫にする
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
ブロッコリー
ブロッコリー 100g:約0.5個
ブロッコリーは葉酸だけでなく女性には嬉しい美容にも効果がある栄養素があります。
年中通して手に入りやすい食材なのが嬉しいですね。
【ブロッコリーの栄養素と効果】
- ビタミンA・・・風邪や細菌感染予防
- スルフォラファン・・・抗酸化作用や解毒作用
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
ほうれん草
ほうれん草ー 100g:約0.5束
ほうれん草も1年を通じて手に入る野菜ですが、冬に売られているものの方がビタミンCが豊富に含まれています。
サラダほうれん草(ベビーリーフ)や新鮮なものはサラダとして生で食べるのがおすすめですが、ほうれん草にはえぐ味(アク)にはシュウ酸と呼ばれる成分が含まれています。
シュウ酸は過剰摂取することで、尿路結石の原因になることがあるので注意が必要です。
過剰摂取しなければ問題はないので、いろいろな食材をバランス良く食べることを心がけましょう。
【ほうれん草の栄養素と効果】
- 鉄分・・・貧血の予防
- βカロチン・・・細胞の活性化
- カリウム・・・むくみの解消や高血圧の抑制
- ビタミンE・・・冷えの防止
アスパラ
アスパラー 100g:約5本
アスパラは春から初夏にかけて旬の野菜です。
日光に当てずに育てたホワイトアスパラも人気ですが、葉酸は緑のアスパラと比較すると10分の1以下しかありません。
【アスパラの栄養素と効果】
- サルササポゲニン・グリコシド・・・免疫力向上
- ルチン・・・高血圧や動脈硬化の予防
- アスパラギン酸・・・疲労回復
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
春菊
春菊 100g:約0.5束
春菊は菊科の植物で、菊菜とよばれることもあります。
独特に苦味があり好みは分かれますが、サラダやお鍋、胡麻和えや天ぷらしにて食べると美味しい食材です。
春菊はほうれん草と同様に、シュウ酸を含むため過剰摂取は注意が必要です。
【春菊の栄養素と効果】
- βカロチン・・・細胞の活性化
- クロロフィル・・・コレステロールを下げる
- カリウム・・・むくみの解消や高血圧の抑制
- カルシウム・鉄分・・・骨の生成
小松菜
小松菜 100g:約1/3束
同じような葉野菜としては、ほうれん草には及びませんがエグ味が少ない野菜なので調理しやすいのが小松菜です。
特にカルシウムはほうれん草の5倍、牛乳の1.5倍含まれているので妊娠中の方におすすめの食べ物です。
【小松菜の栄養素と効果】
- βカロチン・・・細胞の活性化
- カルシウム・・・細胞の活性化
- 鉄分・・・貧血の予防
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
その他の野菜
食品名 | ㎍/100g |
よもぎ | 190㎍ |
ふきのとう | 160㎍ |
クレソン | 150㎍ |
大根の葉 | 140㎍ |
にんにく | 120㎍ |
オクラ | 110㎍ |
かぶの葉 | 110㎍ |
ニラ | 100㎍ |
とうもろこし | 95㎍ |
カリフラワー | 94㎍ |
かぼちゃ | 80㎍ |
葉酸の含有量が多い果実類
果実類にも葉酸を多く含む食べ物があります。
果物であれば熱で流出する量を考えなくていいのが嬉しいですね。
また、つわりなどで食欲がないときにも食べやすいので、妊娠初期におすすめです。
ゆず
ゆずをそのまま食べる事はほとんどありませんが、妊婦さんに人気なのがゆず茶です。
さっぱりとしていてつわりの時期でも飲みやすいのが人気の秘訣。
また、コーヒーや紅茶とちがってカフェインが含まれないので妊婦さんには嬉しいですね。
しかし、ゆず茶は砂糖が多く含まれていることや、他の柑橘類の中ではカロリーが高めなので飲み過ぎには注意しましょう。
1日2杯程度であれば心配する必要はありません。
【ゆずの栄養素と効果】
クエン酸・・・疲労回復
ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
いちご
いちご 100g:約10粒
いちごは他の果物よりも糖分が少なく低カロリーで、健康だけでなく美容にも効果がある食べ物です。
一度に食べきれない場合は冷凍保存ができるので凍らせて、ミキサーで牛乳と混ぜれば簡単にスムージーを楽しむことも。
【いちごの栄養素と効果】
- アントシアニン・・・眼精疲労の回復
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
アボガド
アボガド 100g:1個弱
アボガドは「世界一栄養価の高い果物」とギネス認定された果物です。
加熱調理にはむいてないので、他の食材といっしょにレモン汁やドレッシングで食べるのがおすすめです。
【アボガドの栄養素と効果】
- ビタミンA・・・風邪や細菌感染予防
- グルタチオン・・・体内有害物質の排出効果
- オレイン酸・・・悪玉コレステロールの抑制や皮膚・頭皮の再生
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
その他の果物
食品名 | ㎍/100g |
キウイ | 36㎍ |
バナナ | 26㎍ |
みかん | 22㎍ |
葉酸の含有量が多い豆・種実類
葉酸といえば緑黄色野菜をイメージする方が多いかもしれませんが、豆類などの食べ物にも葉酸は豊富に含まれています。
きな粉
きな粉 100g:大さじ14杯
きな粉は炒った大豆の皮をむいて粉末にしたものですが、100gあたり葉酸が250㎍も含まれています。
いろいろな食べ物に振りかけるだけで、葉酸だけでなくミネラルやポリフェノールなどを摂取することができるので妊婦さんにおすすめです。
和え物や味噌汁、トーストやヨーグルトなど様々な食べ物と合うので自分好みのレシピを見つけてくださいね。
【きな粉の栄養素と効果】
- 大豆イソフラボン・・・ホルモンバランスを整える
- カルシウム・マグネシウム・・・骨を強くする
- タンパク質・・・骨や臓器を作る・疲労回復
- 食物繊維・・・便秘の解消
あずき
あずき 100g:大さじ5杯
あんこのイメージが強いあずきですが、実は茹でてお豆として食べる事も出来るんですよ。
他の豆よりも小さいので火が通りやすく、調理しやすいお豆です。
葉酸以外にも食物繊維や良質なたんぱく質が豊富でアンチエイジング効果も期待できます。
【あずきの栄養素と効果】
- 小豆ポリフェノール・・・強力な高酸化作用で活性酸素を除去
- サポニン・・・むくみや便秘の解消
- 亜鉛・・・ホルモンの活性化
- 鉄分・・・貧血の予防
納豆
好き嫌いは分かれますが、日本の朝食に欠かせないのが納豆です。
発酵食品なので葉酸以外の栄養素も豊富で、中でも納豆特有の成分ナットウキナーゼは血液がドロドロになるのを防ぐ効果があります。
妊娠中は運動不足になりやすいので、妊婦さんにおすすめの食べ物です。
【納豆の栄養素と効果】
- ビタミンB群・・・疲労回復や美肌効果
- カルシウム・・・骨を強くする
- ナットウキナーゼ・・・血液をサラサラにする
- 食物繊維・・・便秘の解消
その他の豆・種実類
食品名 | ㎍/100g |
ごま | 93㎍ |
くるみ | 91㎍ |
落花生 | 57㎍ |
葉酸の含有量が多いきのこ類
きのこはたくさん食べてもカロリーや脂質・糖質を摂りすぎる心配がありません。
調理方も豊富なのでぜひ取り入れてくださいね。
エリンギ
クセが少ないエリンギは和風料理にも洋風料理にもマッチし使い勝手の良いきのこです。
元々は海外のきのこで国内では天然で自生していないため、手に入るものは全て栽培されたものになります。
【エリンギの栄養素と効果】
- パントテン酸(ビタミンB5)・・・肌荒れ予防
- ナイアシン・・・デトックス効果
- 食物繊維・・・便秘の解消
なめこ
約9割が水分でできているなめこは、100g食べてもカロリーがたったの15kcalしかありません。
体重を気にしている妊婦さんには嬉しい食材ですね。
なめこは独特のぬめりに栄養素をたくわえているので、お味噌汁など茹で汁も一緒に食べられるような料理がおすすめです。
【なめこの栄養素と効果】
- ムチン・・・体の粘膜を保護する
- ナイアシン・・・デトックス効果
- 食物繊維・・・便秘の解消
えのき
シャキシャキの食感が楽しめるえのきですが、水で洗いすぎると葉酸が流出してしまうので注意が必要です。
料理のバリエーションが豊かで、メインをひきたてる脇役としもて活躍してくれるでしょう。
【えのきの栄養素と効果】
- ビタミンB1・・・疲労回復
- ナイアシン・・・デトックス効果
- キノコキトサン・食物繊維・・・便秘の解消
その他の葉酸の含有量が多い食べ物
意外なものにも多くの葉酸が含まれています。
うに
高級食材のうににも葉酸が豊富に含まれています。
妊娠中はリステリア菌感染を気にして、生ものを避ける方も多いと思いますが鮮度が保たれたものであれば心配はありません。
【うにの栄養素と効果】
- ビタミンE・・・抗酸化作用
- ビタミンB12・・・貧血予防や改善
- ビタミンK・・・骨や歯の形成を促進
- EPA・・・血液をサラサラにする
たまご
栄養価が豊富な事で有名なたまごですが、葉酸も多く含まれているんです。
たまごには人間の体を構成するたんぱく質(アミノ酸)が豊富で、全食材の中でもトップクラス。
アミノ酸スコアと呼ばれる、必須アミノ酸を数値化したものでは驚きの満点!
栄養価が豊富なため、食べ過ぎはNGですが1日1個〜2個を目安にするといいですね。
また、サルモネラ菌の心配があるため、妊娠中は生卵や半熟は控え火を通して食べるようにすると安心です。
【たまごの栄養素と効果】
- メチオニン・・・抗酸化作用
- タンパク質・・・胎児の体を作る
- コリン・・・高血圧の予防
焼き海苔
数値だけみると桁違いのように感じますが、焼き海苔1枚の重さは約3g程度なので、100gだと約30枚に相当します。
しかし、海苔は葉酸だけでなくビタミンAやカリウムなどのミネラルも豊富で、ご飯に巻くなど手軽に食べられるので取り入れたい食べ物の一つです。
【焼き海苔の栄養素と効果】
- タンパク質・・・胎児の体を作る
- 食物繊維・・・便秘の解消
- ビタミンC・・・葉酸の吸収を助ける。免疫力の向上
その他の食べ物
食品名 | ㎍/100g |
こんぶ | 190㎍ |
ひじき | 84㎍ |
ほたて | 87㎍ |
妊娠中は葉酸サプリメントからの摂取も忘れずに
ここまでは妊婦さんにおすすめの葉酸が多く含まれる食べ物を紹介してきました、
しかし、妊娠中の葉酸は食べ物の摂取だけでは全てが補えないと考えられています。
厚生労働省が公表している「葉酸の食事摂取基準」では、妊娠中の女性には1日480μgの葉酸摂取を推奨しています。
さらに
妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの 低減のために、付加的に 400µg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望まれる。
と記載されており、これは妊娠前から妊娠初期の女性は食事からの摂取に加え、葉酸サプリメントなどから1日400μgの葉酸を摂取することを推奨しているのです。
推奨されている葉酸は食べ物から摂取できる天然(プテロイルポリグルタミン酸型葉酸)ではなく、合成(プテロイルモノグルタミン酸)で作られた葉酸になります。
詳しくは次の記事で説明しているので参考にしてくださいね。
▷葉酸はいつから必要なの?妊娠前や産後も効果があるって本当?
近年の研究結果により、妊娠初期の葉酸不足によって「神経管閉鎖障害」のリスクが高まることがわかっています。
リスクを最低限に抑えられるよう、食事やサプリメントでの葉酸摂取を心がけるようにしましょう。