葉酸とは?
葉酸は、1941年にほうれん草の葉から発見された栄養素で、ラテン語で「葉」という意味の「folium」から「folic acid=葉酸」と名前がつけられました。
妊娠中に必要不可欠な栄養素として注目されている「葉酸」は、水溶性ビタミンB群の一つです。
新しい細胞を作り出すのに必要な栄養素といわれていて、厚生労働省では妊娠を望むママや妊婦さんに推奨しています。
葉酸に関する記述は、2002年から母子手帳にも記載されるようになりました。
妊娠中に葉酸が必要な理由と期待できる効果
妊娠中に葉酸を摂取することで、どのような効果が期待できるのでしょうか?
細胞増殖を助け神経管閉鎖障害のリスク軽減
葉酸は、タンパク質や細胞を作るときの設計図となる核酸を合成させるための重要な栄養素です。
胎児の細胞増殖が盛んに行われる、妊娠初期に葉酸が不足する事で神経管閉鎖障害を引き起こすリスクが高まるといわれています。
神経管閉鎖障害とは、大きく分けて「二分脊椎症」と「無脳症」の2つがあり、どちらも妊娠初期に起こる胎児の重大な先天性疾患で、脳や脊椎にある神経管の一部が塞がらない事が原因で起こります。
様々な研究により妊娠初期から適切な量の葉酸を摂取する事で、神経管閉鎖障害の発症のリスクが軽減することがわかっているのですが、研究結果によってはその軽減率は70%ともいわれているんです。
赤血球を作る事で貧血予防に
葉酸は「造血ビタミン」とも呼ばれており、ビタミンB12とともに赤血球を作り出す働きがあります。
通常、赤血球は4ヶ月のサイクルで死滅しますが、葉酸が不足する事で正常な赤血球を作れず貧血になるリスクがあります。
特に妊娠中のママは貧血になりやすいため、葉酸を摂取する事で貧血予防になります。
着床しやすい環境に
葉酸は細胞分裂を活発にする働きがあるため、子宮内膜を強化し子宮の健康状態を健やかに保つ効果が期待できます。
受精卵を守ることで着床しやすい身体を作ります。
高血圧のリスクを低減
妊娠前・妊娠中に限った事ではありませんが、葉酸には動脈硬化の原因と言われている「ホモシステイン」の血中濃度を下げる働きがあります。
妊娠中は高血圧にも注意が必要なため胎児だけでなく、母体にも必要な栄養素と言われています。
葉酸はいつからいつまで摂取すればいいのか?
前述の通り、葉酸は胎児の神経閉鎖障害のリスクを低減したり、ママの貧血予防に効果が期待できる栄養素です。
しかし、病院で正常な妊娠と診断され、胎児が確認できるのは妊娠5〜7週。
そこで厚生労働省では、妊娠を望む女性に対して、妊娠する1ヶ月前から葉酸を摂取することを推奨しています。
赤ちゃんが欲しいと妊活している方や、「もしかして妊娠したかも」と感じている人は早めに葉酸を摂取するようにしましょう。
葉酸はいつまで摂取すればいいの?出産後も必要なの?
妊娠を望む場合、妊娠前から葉酸を摂取すると良いことはわかりました。
では、いつまで葉酸を摂れば良いのでしょうか?
厚生労働省では、妊娠する1ヶ月前から妊娠3ヶ月までの葉酸摂取を推奨しています。
葉酸には貧血の予防も期待できるため、妊娠初期だけでなく妊娠中も摂取するようにしましょう。
また、葉酸は出産後にも様々な効果があると考えられています。
葉酸は質の良い母乳を作り出す
赤ちゃんに与える母乳は「白い血液」とも呼ばれており、ママの血液から作られています。
葉酸には造血作用もあるため、質の良い母乳を作るために大きな役割を果たすのが葉酸なんです。
産後のママの体力回復を助ける葉酸
出産後のママの体内は目まぐるしく変化が起こっています。
10ヶ月間赤ちゃんが過ごした子宮はダメージを受け、ホルモンバランスも乱れています。
葉酸には、細胞分裂や細胞の再生を助ける効果や、ホルモンバランスを整える効果もあるので、産後のママの回復にもうれしいことばかりですね。
必要な葉酸の量は?
では、実際にどれぐらいの葉酸を摂取すればよいのでしょうか?
厚生労働省では葉酸の、1日に必要な摂取目安を下図のように推奨しています。
画像:厚生労働省
表だけではわかりづらいので解説しますね。
妊娠する可能性が高い「18歳〜29歳」「30歳〜49歳」の推奨量は1日当たり240μgとなっています。
表の下には「妊婦(付加量)」の欄があり、+240μgと記載されています。
「授乳婦(付加量)」は+100μgですね。
ということは、「妊娠中は妊娠前と比較すると2倍の葉酸(480μg)を摂取する必要がある」ことになります。
さらに、表の欄外に書かれている「妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性のある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの提言のために、付加的に400μg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望まれる。」と記載されています。
これは、妊娠計画中(妊活中)・妊娠の可能性がある女性は、付加的に400μgの葉酸をサプリメントから補うことを推奨するという意味で、厚生労働省では食物だけでなくサプリメントで葉酸を摂取することが推奨しているのです。
まとめると上図のようになります。
葉酸240μgの食事ってどれぐらい?
では、葉酸の摂取目安の基準となっている240μgを食事で摂取する場合、何をどれぐらい食べればよいのでしょうか?
葉酸を多く含む食品を一覧にしてみました。葉酸は多くの食品に含まれていて比較的摂取しやすい栄養素であることがわかりますね。
この他にも葉酸を含む食材はたくさんあります。
すぐに作れる葉酸レシピ
手軽に作れる葉酸レシピを集めました。
枝豆のスープ
簡単に調理でき、食欲があまりないつわりの時期でも食べやすいレシピです。
夏場は冷やして冷製スープにしても美味しいですよ。
クレソンと納豆のオムレツ
納豆とクレソンは葉酸だけでなく鉄分も豊富なのでおすすめです。
卵に全ての材料を混ぜて焼くだけなので、日頃料理をしない旦那さんでも作れますね。
野菜たっぷりポトフ
アスパラやブロッコリーを入れることで葉酸たっぷりのポトフが完成!
ポトフもお鍋に材料を入れて煮込むだけなので簡単に調理できます。
葉酸サプリは厚生労働省が推奨しているって本当?
前述の通り、厚生労働省では妊娠前〜妊娠初期(〜3ヶ月)までは、食品だけでなくサプリメントからの葉酸摂取を推奨しています。
葉酸には、食品から摂取できる「天然葉酸(プテロイルモノグルタミン酸型)」とサプリメントから摂取できる「合成葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」の2種類あるのですが、「天然葉酸」は水に溶けやすく熱に弱いため、厚生労働省では「合成葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」の摂取を推奨しています。
天然・合成と聞くと、天然の方が体に良さそうなイメージがありますが、推奨されているのは合成の方であることを覚えておきましょう。
まとめ
葉酸は日頃からバランスよく食事をすることで、比較的摂取しやすい栄養素ですが、妊娠計画中(妊活中)の方や妊娠の可能性がある方は推奨量を意識して摂取することが重要です。
また葉酸は産後にも効果があるため、長期間にわたって摂取する栄養素。
自分にあった食材やサプリメントを見つけることが大切です。
葉酸サプリメントは数多くありますが、安全性や飲みやすさを重視して選ぶようにしましょう。