私は保育士であり、また自閉症スペクトラムとADD(注意欠如)の特徴をもつ発達障害児(小3娘)の母親です。
日々葛藤と衝撃の中で、それでも面白おかしく、彼女の人生が希望に満ちたものであるようにと願いながらサポートしております。
私の体験談が少しでも悩めるママのお役に立てれば嬉しいです。
うちの子、何か違う?と感じたら
「もしかして、うちの子は発達障害では?」とネット検索がとまらない。
私もそんな時期がありました。
お子さんを大事に思えば思う程、心配も募りますよね。
発達障害とは、生まれつき脳機能に問題があるために心身の発達に偏りが生じ、主に人とのコミュニケーションにおいて問題を抱えやすい性質のことを言います。
症状や特徴の出方には非常に個人差が大きく、最近では3歳〜小学校低学年に健診や園・学校の先生等から指摘されて専門機関に相談に行くケースが多いですが、社会人になって気づくケースも少なくありません。
ですが、自分の体験からも、外遊びが増えて他の子と関わるようになる1歳前後から、お子さんに違和感を感じて不安になるママも多くいらっしゃると思います。
この時期でもわかる、発達障害の見分け方をご紹介します!
発達障害を見分けるポイント
発達障害は、主に「自閉症スペクトラム」「ADHD(注意欠陥多動性障害)」「LD(学習障害)」の3つに分類されますが、実際はこれらを併せ持つタイプの方も多いと言われています。
しかし1歳児では発達の未熟さゆえ、あまり細かくカテゴライズ出来ないので、大きく「発達障害児の傾向」として共通する特徴を挙げさせていただきます。
【睡眠と感覚過敏】
彼らの脳は我々よりずっと刺激を受けやすいうえ興奮状態からの切り替えも困難です。
常に刺激にさらされて脳が休まる暇がなく、これらの疲労やストレスから、愚図り、癇癪、夜泣きなどママを悩ませる問題が多々起こります。
①睡眠リズムが不安定
脳機能の問題により、継続した深い睡眠を得にくいためリズムが安定しない場合があります。
- 起こさなければ何時間でも寝る
- ほんの少しの物音や光で起きてしまう
- 寝付きが悪い、昼夜逆転しがち
時間・姿勢・儀式が決まっていてパターンが崩れると眠らず、やっと寝息が聞こえても私が離れると瞬時に起きる。
かと思えば急に4時間くらい昼寝をしたり、帰省先など環境が変わると必ず夜中まで大癇癪で、本当に辛い持期でした。
対策
- 朝必ず同じ時間に一度起こす
- 昼間たくさん外で遊ばせて疲れさせる
- 夕方以降は電子音・ブルーライトを避ける
- 就寝の儀式を守って安心させる
残念ながら近道はありません。
家族で協力し、根気よく習慣付けを目指しましょう。
娘も一歳過ぎる頃からは11時間睡眠になりました。
しかし夜型体質は根強く、未だに朝寝坊に悩む日々です。。
②光、音、味、におい、感触などに敏感すぎる、又は特定のこだわりが強すぎる
成人した当事者の話では、実際は「交差点は色々な音が大音量で混ざって聞こえて酔う」「少しでもネバっとした食べ物が口に入ると吐き気を感じる」「服のタグが皮膚にあたると針で刺されるように痛い」など私たちとは大きく違う感じ方をするために非常に苦しんでいる場合もあるようです。
- 人が多い、騒がしい、光が強いなどの場所で癇癪や体調不良をおこす
- 極端な偏食、特定の食感(パリパリ、ネチョネチョなど)や味を拒否又は好む
- 特定の生地や肌触りのものしか身につけない
- お気に入りのタオルやおもちゃなど特定の物がないとひどく癇癪をおこす
- 特定の特徴(男性、ひげ、メガネなど)のある人だけを極端に怖がる
- 泣いている時に身体に触ると嫌がったり、さらに癇癪が酷くなる
★娘の場合★
病院(特に男性医師)が全くダメで、耳垢を取るだけでも医師をけとばしたりかみついたりと散々。
今でも、料理の味付けや食感がいつもと違うと食べない、低気圧だと寝坊し頭痛やだるさを訴える、洗濯が間に合わなくても穴があいても泥だらけでも特定の服がないと登園しない、帽子嫌いで校帽を被らない等々。
虐待や甘やかしと誤解されることも多々ありました(涙)
対策
- こだわりの品は同じ物を複数用意する
- 苦手な食べ物は粉末やミキサーを使い好物に混ぜ込む
- 1日1回は好きなものに囲まれてリラックスさせる
- 予防接種や健診、病院などは、機嫌の良い時に散歩に行ったりして少しでも免疫をつけておく
- 暴れても泣いても、嫌なことを終わらせられたらすぐに「えらかったね」と言いご褒美をあげる
ゆっくりでも成長するので、周囲の目を気にする時期に来ればある程度は改善します。
幼児期に無理強いしてトラウマを増やすより、妥協出来る所はした方が母子ともにストレスなく過ごせると思います。
ただし予防接種などの避けられない場合は、暴れるのは覚悟し、可能な限り短時間で終わらせることに集中しましょう。
また、少しでも我慢出来たらしっかり声に出して褒めることで、少しずつ成功体験として記憶されます。
ご褒美はシールがおすすめ。
【身体の機能】
脳機能の問題で筋肉がなかなか発達しなかったり、脳からの指令がうまく手足に届いていなかったりするために、成長に影響が出る場合があります。
①母乳を飲むのが下手、空腹感または満腹感を感じにくい
口のまわりの筋肉の発達が未熟でうまく吸い付けていなかったり、空腹感を感じにくい、空腹でも「泣いて母親を呼ぶ」という行動に結びつかない、などの理由で低体重になってしまう子もいます。
逆の場合は肥満と虫歯に注意が必要です。
- おっぱいを咥えていても殆ど飲めていない、哺乳瓶だとゴクゴク飲む
- お腹が空いているはずなのに泣かない
- 母乳・食べ物はあればあるだけ欲しがる
★娘の場合★
食欲旺盛で体重オーバー気味でした。
常に口に何か入れたがり、かなり大きくなるまで指しゃぶりもやめられず、愛情不足だと誤解されて落ち込みました。
対策
- 口が寂しそうな時は、塩分の少ないスルメや、大きく切ったりんごなどをしゃぶらせる
- 母乳・食事の時間を決め、始まりと終わりの合図(カードを見せる、歌う、タイマーをかけるなど)
- 食事と一緒に歯ブラシを用意し、食後すぐ磨く習慣をつける
- 切り替えるために食後すぐ好きな遊びを始められるように準備しておく
②ハイハイや立っちが出来ない、又は出来るようになるのが遅い
発達障害が主な原因であれば、大抵の場合はゆっくりでもちゃんと発達していきます。
逆に、就園の頃になると活発すぎて困るケースも。
ただし余りにも違和感がある場合は早急に受診をお勧めします。
- 身体がふにゃふにゃで力が入りにくい
- 1歳を過ぎても立つ兆候がない
- 順調ではあるが出来るようになるのが一般的な基準より遅い
★娘の場合★
取りかかりは遅めでしたが、やりはじめたらあっという間でした。
その後手先は異常に器用になりましたが、ダンスや球技などの全身運動は現在も一貫して不得手です。
対策
- 親子で参加出来る体操教室やスイミングに通いプロの意見を聞く
- 頻繁に外遊びをさせる、何かと歩くようにするなど、筋肉の発達を促す
- 室内用トランポリンでバランス感覚アップ
お陰で何とか体育嫌いにならずに済んでいます。
③言葉の発達が遅い、又は早すぎる
知的障害がある場合は発語が遅れがちです。
知的な遅れのない発達障害の場合、ゆっくりでも成長していく場合が多いです。
また早すぎる子もいます。
- 「あーあー」「だーだー」などの喃語が長く続く
- 1歳を過ぎても「まんま(ごはん)」「まま(おかあさん)」など意味のある言葉を話さない
- 2歳より前に3語文以上の文章で会話できたり、難しい熟語や専門的な用語などを覚えている。
(必ずしもその意味や用途まで正しく理解している訳ではない)
★娘の場合★
身体の成長に比べて知的発達の早いタイプ。
かなりのおしゃべりで1歳9ヶ月で既に文章で会話をし、歌の歌詞も完璧にマスター。
しかしほとんど独り言に近いものでした。
対策
- 出来るだけ簡潔に、人や物の名前を繰り返し教える(みかんを見せながら「みかん」と言うなど)
- 得意なこと、興味をもったことはどんどんやらせ、共通の趣味の友だちを作っていく
- 無理のない範囲で同年齢の集団の中に入れて刺激を与え、少しずつ興味を持たせる
【人との関わり】
発達障害はコミュニケーションの障害とも言われ、人と関わる能力が育ちにくいことが最大の問題点です。
①目が合わない、合いにくい
脳の複数の機能を一度に働かせることが難しいために「相手の目を見る、話を聞いて理解する、それに合った返事や表情をする」という複雑な動作は非常に困難なのではないかと言われています。
- 名前を呼ばれても反応がない
- 話しかけても相手の目や顔ではなく関係ない方向を見ていたりする
- 目を合わせようとすると避ける
★娘の場合★
機嫌の悪い時、集中しているときにこれらの特徴が出ました。
今でも急に話しかけられた時や初めての相手との会話ではパニックになりやすく、必ず遠くの一点を見つめて無表情になり返答もしませんが、後で聞くと内容は全て理解しています。
話を聞き取ることで精一杯で、目を見たり相づちを打つ余裕がないようです。
対策
- 聞いていないように見えてもめげずに、頻繁に話しかける
②母親に執着しすぎる、又は執着しなさすぎる
母親を含めた、人自体に関心を持つのがゆっくりな子と、逆に母親が少しでも離れると途端に大パニックを起こしてしまう子が見られます。
母子だけの生活の中ではわかりづらいですが、同月齢の子たちと一緒になった時に気づくケースが多いです。
- 手を出して抱っこをせがむことが少ない
- 抱っこの時に子どもの方からしがみついて来ない、しっかり抱かれない
- 後追いや人見知りが強すぎる、母親以外の人に世話されるのを断固拒否する
- 家ではベッタリなのに外に出たとたん母親を振り切ってどんどん遠くへ行ってしまったり、遊びに没頭すると母親の呼びかけが一切聞こえなくなる
★娘の場合★
不安感と警戒心の強さから常に私にべったり。
夫にも機嫌の良い時しか抱っこさせず本当に困りました。
私が体調不良で寝込むと彼女のペースやパターンが狂うためパニックに。
でも、その意味は「お母さんが好き」というよりは「言葉の通じない世界で、いつもそばにいて欲求を満たし助けてくれる人」という認識だったように思います。
愛着や甘えの対象として母親を捉えられるようになったのはおそらく小学校に入ってからではないでしょうか。
対策
- 夫や祖母など世話を頼みたい人の写真などを頻繁に見せたり、本人の興味に付き合ってもらって警戒心を解いていく
- 集中をうまく利用し、没頭している間に家事や用事を済ます(ただし安全は常に確認)
③指差しをしない又は遅れる、模倣をしない、「一緒にしたい」願望が薄い
指差しは、「これはなに?」「それが欲しい」「あっちへ行きたい」など、まだ言葉の未熟な1歳児にとって、自分以外の人に意志を伝えるための大事なコミュニケーション方法です。
また、模倣やまねは周囲の人の行動に興味を持っている証拠。
人に関心を持つことで「あんな風にやってみたい」「もっと人と関わりたい」という意欲が生まれ、「誰かと一緒にやることが楽しい、嬉しい」と感情の共有を望むようになります。
しかし発達障害があると自分以外の人の感情自体に関心が持ちづらいので、何かを「一緒にしたい」という欲求に結びつくまでには時間がかかります。
- 興味のあるワード(電車の路線など)は覚えるが、「ママ」「パパ」など呼びかけの言葉をなかなか使わない
- 指差しの意味がわかっていない
- 親が指差した方を見ない
- 大人や兄姉など模倣やまねっこ遊びをしない
- 誰かと一緒にすることに関心がない、嫌がる
★娘の場合★
指差しや模倣は頻繁でしたが「あれもこれも知りたい」という強い探求欲求によるものばかりで「誰かと一緒に」が抜けていました。
また家ではずっとしゃべっているのに家族以外の人の前では無言、話しかけられても無視、無表情。
私と二人きりになった途端にマシンガントークを始める状態が長く続きました。
当時のママ友に「○○ちゃん(娘のこと)て、笑ったりしゃべったりするの?」と聞かれとても悔しかったです。
対策
- 本人の遊びに入れてもらい、まずは母親と2人で楽しく遊べるようにする
- こちらから積極的に指を指して物の名前等を教えたり、逆に質問したりして遊ぶ
家族以外の人やお友達への呼びかけや、会話のやり取り、2人遊びや集団遊びに関心を持ち出したのは5〜6歳からでした。
気になることは必ず専門家に相談しよう
「この程度の悩みで相談に行って良いの?」「相談したいけど、診断がおりるのも怖い」「私の子育てが間違っていると叱られるだろうか」・・そんなことを思ってなかなか相談に行けない方も多いのでは。
でも、あなたがお子さんの発達障害の症状で悩んでいるとしたら、それは脳機能の問題であって子育て方法のせいではないのです。
すから専門家の先生方はむやみにあなたの子育てを否定することはありません。
一日も早く信頼出来る相談先を見つけて、少しでも肩の荷を降ろして下さいね。
【発達障害の主な相談先】
以下に相談の上、必要があれば専門機関を紹介してくれるはずです。また診断を受ける程ではなくても、いざという時に頼れる先を確保しておくことは大切なことです。
- かかりつけの小児科医(小児専門医)
- 保健師
- 自治体のこども発達センターや子育て支援センター、子育て相談窓口
- (通っていれば)保育園の先生
- 児童館や家庭支援センターなどが運営する幼児サークルの先生・指導員など
【正しい情報と早めの対策が鍵】
メディアには情報があふれていますが、間違いや偏りがあったり、大げさに不安をあおるものもたくさんあります。
あなたに必要なのは、お子さんとあなたに合う正確でオーダーメイドの対策方法。
それを一緒に作り、悩み、サポートしてくれるのが専門家の役割です。
私も初めて相談に行ったとき(自治体の発達センターでした)はかなり緊張しました。
しかし担当の心理士さんは拍子抜けする程優しく、「今までよく頑張ってきたね。大変なのはお母さんのせいじゃないから大丈夫。これからは私たちと一緒に日々の対策を考えて行きましょう。」と仰り、深く安堵したのを覚えています。
また発達障害の対策は、早ければ早い程効果的だと言われています。
障害と呼ばれてはいますが、裏返せば、普通以上の能力にあふれた子と言えるのです。
みんなとの違いに気づいた今がチャンス!
出来るだけ早くお子さんに合う環境を整えて、プラスの面をどんどんのばしてあげたいですね。
本人とママ、そして家族みんなの幸せのために
ママの不安は直に子どもに伝わります。
特に感覚が過敏な子はマイナスパワーをキャッチしやすく、愚図りや癇癪も倍増。
夫婦喧嘩や家庭不和の原因にもなりかねません。
悩みを抱えたままの育児に良いことはなにもないのです。
心配なことは相談してスッキリしてしまいましょう!